『妙なる技の乙女たち』 小川一水 著 (★★★★★)
これはイイ!
本屋を当てもなくうろうろして目についたので衝動買い。
近未来。宇宙産業で急激に発展した赤道直下の海上都市リンガ。そこで暮らし、働く女性に焦点を当てた全 7 話のオムニバス。
いかにもありそうな人(組織)の行き詰まり感や、突飛すぎないけれど大胆なブレイクスルー、人の心の微妙な趣や、心のふれあいに生まれる機微。そういったものを絶妙に表現されている。主人公達が生きる世界の細かな背景もまた、とても説得力を持って描かれていて、素晴らしいなぁ。決して我々に近い暮らしを描いているわけではないのに、身近な生活感を感じさせる。今、正にその地に実在する世界のように思わせる。
東南アジアという舞台も、女性が主人公であるというのも、それから、登場するオリジナルの物々のネーミングセンスが良いところも、この小説が良いなと思わせる要因の一つになっている気がする。読んでいて気持ちがよい。
アニメ化できるんじゃないかなぁ。でも、下手に映像化すると陳腐化する話もあるからなぁ。