2014年に読んだ小説

2014年の読書メーター
読んだ本の数:39冊
読んだページ数:14300ページ
ナイス数:359ナイス

屍者の帝国 (河出文庫)屍者の帝国 (河出文庫)感想
(★★★★★)舞台は,死者を甦らせて使役する技術が普及した19世紀末。脳内イメージはロバート・デ・ニーロ主演の映画『フランケンシュタイン』そのまま。灰色で茶色の視界が広がり,その禁忌的な世界にすぐさま引き込まれる。そして人の意識の根源を問う古くて新しい視点に釘付けに。歴史改変具合が絶妙で,そこにつながるのか! と惚れ惚れ。何より驚愕の結末に戦いた。多くを円城塔氏が書き継いだとはいえ,夭折した伊藤計劃氏の『虐殺器官』『ハーモニー』に通じる“何か”をその文章から感じずにはいられなかった。文庫版あとがきも必見。
読了日:12月31日 著者:伊藤計劃,円城塔

天冥の標VIII  ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★☆☆)絶望的な状況にようやく一筋の光が差しかける? PART1に引き続き,じわじわと世界の秘密が明かされる展開は,今後の大ジャンプに向けてじっくりと力をためている感じ。焦らすね。長きにわたって蓄積してきたあれやこれやが解き放たれるのをはやく見たい。しかし,最後のアレはどういうこと!?
読了日:12月30日 著者:小川一水

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (1) ―スクワッド・ジャム― (電撃文庫)ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (1) ―スクワッド・ジャム― (電撃文庫)感想
(★★☆☆☆)SAOのGGOのスピンオフ。フルダイブ型のバーチャルリアリティガンシューティングゲーム内でのバトルロイヤル。その潜伏・撃ち合いの緊張感が伝わるのはよい。が,後半のキーイベントの理屈が唐突すぎ,かつわけわかめで受け入れがたいために,なんだかすっきりしない物語となってしまった。あと,小説の地の文が敬体なのは,私には至極読みにくいということがわかった。
読了日:12月20日 著者:時雨沢恵一

ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (電撃文庫)ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (電撃文庫)感想
(★★★☆☆)こんなものツンデレではない,ただのデレだ! …さて,巻を重ねるごとにSAOたらしめる緊迫感が薄れてしまっているのは,正直なところ残念ではある。が,RPGひとシナリオやり遂げた感を得られ,それなりに満足してしまうことであるよ。次を待つ。
読了日:12月11日 著者:川原礫

新装版 ロードス島戦記 6    ロードスの聖騎士(上) (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 6 ロードスの聖騎士(上) (角川スニーカー文庫)感想
(★★★☆☆)騎士見習いスパークくんの苦悩。ファンタジーの王道ともいえる,世界を滅ぼさんとする大イベントの序章には,わくわく感が募る(笑)
読了日:12月7日 著者:水野良

孤独の価値 (幻冬舎新書)孤独の価値 (幻冬舎新書)感想
(★★★☆☆)ひさびさに読む森氏。孤独は自由である。安定の森氏節であった。
読了日:12月7日 著者:森博嗣

NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)感想
(★★★★☆)書き下ろし短編8編。それぞれが違う方向性のSFで読み応えあり。なかでも「ノー・パラドクス」の世界のメカニズムはとてもいい。「バベル」の苦悩にも引き込まれた。「φ」の異次元具合になぜかにやにやし,「第五の地平」は超弦理論ギャグで草不可避w。
読了日:11月12日 著者:宮部みゆき,月村了衛,藤井太洋,宮内悠介,野崎まど,酉島伝法,長谷敏司,円城塔

そういうふうにできている (新潮文庫)そういうふうにできている (新潮文庫)感想
(★★★☆☆)エッセイなんて滅多に読まないけど,是非にと薦められたので。妊娠・出産時の苦悩の日々を語る。こうした話題は“いい話”的になりそうなものだけど,飾ることなく赤裸々かつ正直に語られる。タイトルからもにじみ出るように,自己を(後から)冷静に見つめているところがとてもよい。ギャグ漫画家ならではの,でもさりげないコミカルな表現も良。こうした率直な体験記というのは貴重だと思う。
読了日:11月9日 著者:さくらももこ

地球から来た男 (角川文庫)地球から来た男 (角川文庫)感想
(★★★☆☆)短編それぞれがものすごく短いので,細切れ時間に読める。世にも奇妙な物語
読了日:10月26日 著者:星新一

土漠の花土漠の花感想
(★★★★★)熱い! 遥か異国のソマリアで救出活動の任務にあたる陸上自衛隊空挺団を現地ゲリラが襲う。息をつかせぬ猛追からの撤退戦。その展開から目が離せず,ページをめくる手が止まらない。特殊な事情を抱える自衛隊だからこその葛藤や,複雑な心情をもつ間柄でありつつも,自らの使命を成し遂げようとする自衛官の使命感・絆に心揺さぶられる。
読了日:10月19日 著者:月村了衛

新装版 ロードス島戦記 5    王たちの聖戦 (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 5 王たちの聖戦 (角川スニーカー文庫)感想
(★★★☆☆)転戦,転戦。民衆をまとめる者たる王(領主)とはどうあるべきか。さまざまな性格の,状況下の統治者たちの姿と葛藤が描かれるけれど,やっぱりマーモ勢の振れ幅がいい。
読了日:10月12日 著者:水野良

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)火星の人 (ハヤカワ文庫SF)感想
(★★★★★)ああ,もう本当にこれは素晴らしい! 不慮の事故でたった一人火星に取り残された宇宙飛行士ワトニーのサバイバルストーリー。一歩間違えば死という過酷な環境を生き延びるため,物資と知力を駆使して四苦八苦。そのリアリティある展開に終始“目も心”も奪われる。これが科学だ! そして随所で披露されるワトニーのユーモアが秀逸。思わず噴き出してしまうけれど,そのユーモアが深刻な事態を冷静に見通す目であり,状況打破の根幹だろう。今年読んだ最高の物語。感動!
読了日:10月9日 著者:アンディ・ウィアー

新装版 ロードス島戦記 4    火竜山の魔竜(下) (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 4 火竜山の魔竜(下) (角川スニーカー文庫)感想
(★★★★☆)壮絶のオルソン。そして英雄の戦い。善だの悪だのと割り切れないものがそこにはあるのだ。
読了日:9月20日 著者:水野良

ランドスケープと夏の定理 -Sogen SF Short Story Prize Edition- (創元SF短編賞受賞作)ランドスケープと夏の定理 -Sogen SF Short Story Prize Edition- (創元SF短編賞受賞作)感想
(★★★★☆)お姉さん賢いのにそんなマッドになりうるか? とか,弟くん魂壊されかけてんのに寛大に過ぎないかとか,全然キャラに好感がもてないが,「知性定理」が素晴らしすぎた。
読了日:9月7日 著者:高島雄哉

模倣犯〈5〉 (新潮文庫)模倣犯〈5〉 (新潮文庫)感想
(★★★★★)「模倣犯」。なんと衝撃的なタイトルだろう。狂気と怒り,憎しみと寛容。登場人物たちの複雑な感情や反応に終始もやもやさせられる。しかし,それが人間。
読了日:8月22日 著者:宮部みゆき

模倣犯〈4〉 (新潮文庫)模倣犯〈4〉 (新潮文庫)感想
(★★★★☆)登場人物それぞれがある種の極限状態の中で取ってしまう言動。どんなに愚かで道理にあわなくても、そうしてしまうのは必定と理解しつつも、どの人物の振る舞いにも気持ち悪さを感じてしまう。きっとこれが人間の(人間対人間の)本質的な気持ち悪さなんではなかろうか。
読了日:8月15日 著者:宮部みゆき

ソードアート・オンライン (15) アリシゼーション・インベーディング (電撃文庫)ソードアート・オンライン (15) アリシゼーション・インベーディング (電撃文庫)感想
(★★★☆☆)まだまだつづくアリシゼーション。ラスボス後の裏ボスステージ? そんなことより,リアルワールドをどう収めるのかと。
読了日:8月11日 著者:川原礫

新装版 ロードス島戦記 3    火竜山の魔竜(上) (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 3 火竜山の魔竜(上) (角川スニーカー文庫)感想
(★★★☆☆)オルソンとシーリス! そんな人いたな。古代竜シューティングスターが鬼(竜です)。
読了日:8月3日 著者:水野良

オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1)オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1)感想
(★★★☆☆)短編5編。なんだか随所に漂う中二病感がたまらない(笑)。過去改変やら妄想幻想やら並行世界やら,どれも自分と他人,現実と虚構の境界が曖昧な,夢の中のようなふわふわとした感覚に浸れるのが良い。
読了日:6月28日 著者:下永聖高

都市と星〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ク)都市と星〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ク)感想
(★★★★☆)10億年に渡って外との接触を断ってきた都市ダイアスパー。転生によって永遠に生きる人類が住むその都市から,外界へ飛び出そうとする少年の世界を巻き込む冒険譚。ミステリー,冒険,深宇宙,あれやこれやと,指数関数的に壮大さを増していく展開に引き込まれる。この話,そんなとこまでいくのかよ!? って。
読了日:6月22日 著者:アーサー・C・クラーク

新装版 ロードス島戦記 2    炎の魔神 (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 2 炎の魔神 (角川スニーカー文庫)感想
(★★★☆☆)結局,新装版で再読しているという。ああ,この“まじめ”な文体が初読当時を思い起こさせる。2巻は砂漠の民の内戦。ナルディアの短編もよかったんだよな,たしか。
読了日:6月14日 著者:水野良

コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★☆☆)「時の泉」を泳ぐ生き物と,「時の楔」に生きる人類との時空を隔てた邂逅。軽いのでするっと読めた。総理とのやりとりが謎なんだけど……。
読了日:6月11日 著者:小川一水

盤上の夜 (創元SF文庫)盤上の夜 (創元SF文庫)感想
(★★★☆☆)正気と狂気の境界というか,なんというか。もっと深く読み込めればよかったのだが,私のタイミングが合わなかった。冲方丁氏の解説がまたすごい。
読了日:6月9日 著者:宮内悠介

天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★☆☆)1巻裏面。イサリの煮え切らない,もやもやが伝染してもやもや。PART2待ち。
読了日:6月8日 著者:小川一水

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★★☆)正体不明の異星体ジャムと特殊な空軍の戦い。各章が脈絡なく展開されるようでいて,一貫してクリティカルな問いをじわじわと突きつけてくる。「人類」のアイデンティティが揺るがされる展開にぐっとくる。
読了日:5月28日 著者:神林長平

オービタル・クラウドオービタル・クラウド感想
(★★★★☆)危機に立ち向かう物語だけれど,科学や技術を楽しんでる感がとてもいい。未来は明るいと信じさせてくれる。最後の大発想(?)のところは,それでいいならそれまでは何だったのかと思わなくもないけど…。
読了日:5月21日 著者:藤井太洋

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★★☆)フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞作品。時空を超越しまくり,伝統の箱を転がし,大量のフロイトが出現。そのたびに,じわじわきたり,くすくすきたり。理解可能と意味不明の境界ぎりぎり,ちょっと意味不明側,という感じ(笑)。良。
読了日:5月4日 著者:円城塔

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)感想
(★★★☆☆)異星で知的生命3種がごったごた(笑) 人類大人だな。
読了日:4月19日 著者:小川一水

ソードアート・オンライン (14) アリシゼーション・ユナイティング (電撃文庫)ソードアート・オンライン (14) アリシゼーション・ユナイティング (電撃文庫)感想
(★★☆☆☆)ラスボス戦。どうもいろいろクサさが目についてしまって…。で,ちょ! そのラスト!
読了日:4月15日 著者:川原礫

新装版 ロードス島戦記    灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)感想
(★★★★★)懐かしい。大幅加筆とのことで,電子版で読んでみた。どこが加筆されたのかどころか,物語を相当忘れてしまっていた…。続きも再読か,これは。
読了日:3月31日 著者:水野良

UNDERGROUND MARKET アービトレーター (Kindle 連載)UNDERGROUND MARKET アービトレーター (Kindle 連載)感想
(★★★★★)現実が追い越してしまうほど,今と地続きの世界と思わせる。Kindle連載,最終話まで次回が待ち遠しかった。そして,この続編ぜひ。
読了日:3月27日 著者:藤井太洋

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★★★)痛くて辛くて絶望的な物語。人工知能を通して理性と感情と肉体(死)を,人間の本質を,突きつけられる。
読了日:3月22日 著者:長谷敏司

模倣犯3 (新潮文庫)模倣犯3 (新潮文庫)感想
(★★★☆☆)引き続きの犯人視点。急速に言動の稚拙感があらわれてきて,むむ。1巻のめまぐるしい展開とは変わって,亀の歩みでちょっと読み疲れた。
読了日:3月1日 著者:宮部みゆき

模倣犯2 (新潮文庫)模倣犯2 (新潮文庫)感想
(★★★★☆)外道とはこのことだ…。ああでもそういう矛盾した人間いるんだろうなって思う。そしてそんな人間を生み出してしまう環境。こわ。
読了日:2月15日 著者:宮部みゆき

模倣犯1 (新潮文庫)模倣犯1 (新潮文庫)感想
(★★★★☆)数年積んどいた。久しぶりに読む重厚なミステリー。本来の意味で煮詰まってくると,次のイベント,それが煮詰まるとまた次といった感じで進むので,ページをめくる手が止まらない。
読了日:2月14日 著者:宮部みゆき

巡幸の半女神 2 (講談社ラノベ文庫)巡幸の半女神 2 (講談社ラノベ文庫)感想
(★★★☆☆)人類と神との戦いはどこに向かうのか!? わからないまま,打ち切り。え……。
読了日:2月11日 著者:新井円侍

ゴースト≠ノイズ(リダクション)ゴースト≠ノイズ(リダクション)感想
(★★★★★)叙述がちょっとずるい気もする。けど,架と高町のルーズさと繊細さのバランスがよかった。
読了日:2月4日 著者:十市社

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★☆☆)生きてる宇宙船がいいな。
読了日:1月19日 著者:山本弘

天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)感想
(★★★☆☆)場所に微妙なずれがあったけど,思っていた世界に収束していく快感。どうなる人類。
読了日:1月6日 著者:小川一水


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