締切前の日曜日

研究室へ行く。
明日は締切日なので今日中に片付けたいわけである。否、片付けねばならないのである。
到着するとサロンもしくは珈琲店と呼ばれる部屋に研究室のメンバーがずらりとパソコンを並べ構えているのであった。それはあるいは異様な光景とも言える。そして、皆が向かうその先には壁一杯に映し出された高校球児。そう、皆は休日というのにわざわざ大学へ出てきて、仕事片手間にプロジェクタで夏の甲子園決勝を見ているのであった。
多少ぎょっとしながらも私もそこへ加わる。
後は仕事にはならぬ。片時も緊張の緩むことのない投手戦。絶妙な配球に拍手し、際どい球筋に息を飲む。
その場はまるで、甲子園球場その場所であるかのように熱気を帯び、皆、一つになった。
3時間を超える熱闘。試合は明日へ持ち越した。
今日という日曜日。それは締切前の日曜日。原稿は一行として進まなかった。