ナメック星冒険譚 食事編

今日は朝から地球での陰鬱な気分がぶり返してきたナメック星での3日目。


遠い地へ来たからといって「せっかくだし、あちこち行ってみないともったいないよねー」とか言ってる奴はここへ座れ。そして赦しを請え(私が)。まあ外は雨だし…。


そんな感じで部屋で保存しておいたアニメ見たり、惰眠を貪ったりしているうちに夕方ですよ。いいの、疲れてるの。ここのところ、身も心もぼろぼろなの。


しかし、部屋の掃除も断って、朝から何も食わないで籠もっているとさすがに腹は勝手に空くわけです。ここのところ、サンドウィッチとおにぎりと某氏の助言に従って用意しておいたカロリーメイトしか食べてないので、多少まともなものも食いたいなと。あ、チョコレートとヨーグルトも食べたな。ホテルの周辺には(すぐ目の前にも)飲食店がひしめいているわけなのでここは一つ意を決して行ってみよう!と1時間くらい自分を鼓舞する時間を設けてから出発しました。


ホテルのエントランスを出るとざんざか降る雨と全てをなぎ払うつもりであるかのような暴風に怯み、一瞬部屋に戻ろうとする弱き心をねじ伏せて外への一歩を踏み出します。かっこいいな、おれ。


そして、本当にすぐ目の前のお店へさっと入……らないで、通り過ぎます。ち、違うよ。目星をつけておいたのは確かだけど、他にもどんな店があるか見ておこうと思ったんだよ。視察だよ!調査だよ!


そうして、周辺をぐるぐると 30 分程歩き回ります。日式と書かれた看板を掲げた日本料理店も結構あります。「日本語できます」と書かれたお店に惹かれるまくるも、そこに入るとちょっと負けだよな、なんて弱虫のくせに強気なことを考える私。そんな自己矛盾な生き物こそが人間なのだよ!(人間…)


さて、ホテルの前まで戻ってきて当初予定していた店の隣の店に入ります。どうやら焼き肉の店のようです。お店のおばさんが何か言ってますが、一言たりとも理解できません。当然なこととはいえ、私はちょっとパニックです。とりあえず、「メニュー」と言うと壁に貼ってあるメニューを指してくれました。もう一人のおばさんが日本語でメニューを言ってくれます。うっ、と考えて、「牛(うし)カルビ。あー、ユッケ」と言ってみます。……受理されたようです。


目の前のコンロに黒くて四角い石製のような板が置かれました。中央に横一線が入っていてそこが少し低くなっています。また、その片方に穴が空いていて、板はそちら側が低くなるように少しだけ傾けて置かれます。穴の下には少し深めの皿が置かれました。なるほど、これで肉の余計な油を取り除くというわけです。そして、端に骨が付いた長ーい牛カルビ(丸まってる)が2本出てきました。店員のおばさんがトングで開きながらその黒い石に並べます。じゅう。


焼けてくるとまたおばさんが現れてひっくり返したりはさみで切ったりしてくれました。そして「まだダメ」と手をばってんにして去っていきます。その間、私は他に出されたチヂミの切れ端とか、キムチとかを食べてみます。うん、キムチだ。


さて、そろそろ焼き上がりかなと思う頃、またおばさん。「これいいよ」的な感じで一緒に焼いたエリンギの上に載せてくれました。なんかいろいろ言ってくれるんですが一文字も理解できないというのが恐ろしい。あと一緒に出された葉っぱに載せて食えとも言っていたみたいです。葉っぱは2種類あったんですが、そのうちの一方は見た目がしそ。しかもめっちゃでかくて手のひらくらいあります。でも味はまったくしそではありませんでした。不思議な味。ユッケは大根の千切りのようなものの上に載っていました。食べてみると甘い。なしみたいな食感でなしとは違う甘み。なんだっけ、これ?知ってる気がする。


もうお腹いっぱいだなと思った頃、おばさんが現れて、食べ終えたキムチの皿を指して何か言っています。第6感的に察するとまだ食うか?ということのようです。私は手を振っていやいやをしました。すると今度はまた×&★△#?と仰います。わからん。おばさんはいろいろ言うのは止めて「ぱ、ぱ」と言いながら口と手を動かしています。「何、私のことをパーだと言っているのか、この野郎!」などと思うわけもなく、苦笑しながら首をかしげていると金属お椀に入ったご飯を見せてくれました。もう大分お腹がいっぱいだったんですが、なんか「うん」ってうなずいてしまう私を誰か赦してください。そして、断ったのに、親切なのか何なのか知りませんが、キムチを持ってきてくれて、他にもニンニクの芽バージョンとか謎の植物バージョンとかも出してくれました。


最後に紙コップでめちゃくちゃ砂糖入れまくりのミルクも入ったコーヒーをくれました。立ち上がっておばさんを見ると最初に日本語でメニューを言ってくれた方のおばさんが「さんまんろくせん」と日本語で言ってくれました。去り際にそのおばさんに「ましっそよ」と言ってみたら、「まぁ」みたいな感じでちょっと相好を崩して、「朝ご飯、野菜粥、鮑粥」とか言ってました。


「かむさむにだ」と言って店を出ました。