2016年に読んだ小説(一部,非小説)

2016年の読書メーター
読んだ本の数:32冊
読んだページ数:9841ページ
ナイス数:315ナイス


君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)感想
(★★★★★)映画『君の名は。』の4人の登場人物を掘り下げた4編オムニバス。映画の中ではほとんど語られない,一人ひとりの裏側が明かされる。映画のあのシーンで,彼女や彼はどんな立場でいたのか,どんな心境でいたのか。どの物語も文章の運びに勢いがあり軽妙で読みやすいながらも,心理や情景がとても深く描かれていて感動した。4編のどれもがそれぞれに光っていたけれど,妹の四葉の「アースバウンド」と,特に父の俊樹の「あなたが結んだもの」は秀逸。本編に比肩する奇跡のストーリーであった。映画を見た人には是非ともおすすめ。
読了日:11月29日 著者:

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)感想
(★★★☆☆)本題に入る後半。立ちはだかる障害を乗り越えつつターゲットに向かって突き進む主人公ら。彼らそれぞれが持つわだかまりの噴出。はちゃめちゃな大スペクタクルバトル。そして,ラストに明かされる冒頭からちくちくと刺していた主人公のあれの真実…。と,いかにもなB級ハリウッド映画感が満載であった。
読了日:11月13日 著者:ピータートライアス

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)感想
(★★★☆☆)第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した後の世界という歴史改変小説。現代版『高い城の男』との売り文句であったが,『高い城の男』は長期にわたって積ん読なので,後ほど読みたい ^^; さて,アメリカナイズされたというかステレオタイプも一層こじらせた感じのディストピア日本が酷い(笑) 徹底的にグロくしておけばSFっぽいってわけじゃねーぞ!と言いたい。世界観が染み渡ったところで下巻へ。
読了日:11月8日 著者:ピータートライアス

デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)感想
(★★★★☆)Wシリーズ第4弾。フランスで発見された,謎のコンピュータと不思議な一族をめぐるお話。前作に登場した人工知能にひきつづき,新たな存在が現れて,激しい戦いを繰り広げる。人・ウォーカロン人工知能の境界が,現実と電脳空間の境界が徐々に曖昧になっていく様は,それが未来の必然であると感じさせる。これは設計された未来なのか? またも次作が待ち遠しい。そして,エピローグ。まさか,ウグイが…そんな……!(笑)
読了日:11月1日 著者:森博嗣

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)感想
(★★★★☆)表題作ほか,短編全8編。表題作の,フェルマーの原理をもとにした時間を超越した構成には息が漏れた。変分原理をかじっていないとその面白みがあまり伝わらないのでは?とも思ったけれど。どの作品も,特徴的な世界観で,頭を使ってじっくりと楽しむちょっと骨太なもの。読後にあれこれと考えたり,戻って読み直したりしながら,じわじわと面白みが増してくるスルメのような物語たちのようだ。あと,『理解』はラノベ(笑)
読了日:10月25日 著者:テッド・チャン

銀盤カレイドスコープ〈vol.9〉シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.9〉シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
(★★★★★)前巻の盛り上がりに,タズサの進撃を否応もなく期待しているところへ,まさかの展開。しかし,長い長い地下トンネルを抜けた先の最高峰のカタルシス。熱い! シリーズ全般に言えることだが,特に試合の描写では,絶望から歓喜,失策から神技までをよくもこれほど多彩に表現できるものだと感服する。友人にこの最終巻をおすすめされてから3年がかりで少しずつ読み進めてきたが,その甲斐あって余りある物語であった。最後を迎えて少し寂しい。で,1巻の幽霊は何だったんだ(笑)
読了日:10月5日 著者:海原零

銀盤カレイドスコープ〈vol.8〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.8〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
(★★★☆☆)親愛なる天上の人への挑戦と決別。ドラゴンボール的な過酷な修行から始まり,あの高飛車の極みであるタズサの動揺,絶望,そして歓喜と,最終決戦への盛り上がりもひとしお。リアよ,これはもしかして最強のツンデレなのか? クライマックスの最終9巻に期待。
読了日:9月27日 著者:海原零

夢みる葦笛夢みる葦笛感想
(★★★★★)表紙イラストが幻想的で目を引く上田早夕里SF短編10編。1編1編が短くて読みやすいながらも,その内容は濃密。情景が鮮明に目に浮かび,その上田ワールドに一気に引き込まれた。異形の怪物や人工知能,超常の何か……など,ヒトならざるものを通して描かれるヒトの内面。必ずしも爽快な終わりとはならない寂寥感が漂う物語たちが心にしみる。ふだんSFを読まないという人にもおすすめ。
読了日:9月26日 著者:上田早夕里

灰と幻想のグリムガル level.9 ここにいる今、遥か遠くへ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.9 ここにいる今、遥か遠くへ (オーバーラップ文庫)感想
(★★☆☆☆)なんかパーティーのみんなそれぞれが,メンバーそれぞれのことをうじうじ考えているというお話(笑) まあこれまでの展開からしても,この遅々とした展開はグリムガルらしさではあるのだけど,けど…ね。そんな散り散りのバーティは再集合できるのか! そしてなによりメリイさん…!
読了日:9月18日 著者:十文字青

風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)感想
(★★★☆☆)Wシリーズ3作目。事件後の再調査で一連のできごとの謎に迫っていく。前2作にくらべてペースを落とし,じっくりと展開していく感がある。古い時代の人物とのつながりが少しずつ見えてくるが,なかなか焦らされる。そして,そんな終わり方あり!? 続きを早よ!
読了日:8月15日 著者:森博嗣

ソードアート・オンライン (18) アリシゼーション・ラスティング (電撃文庫)ソードアート・オンライン (18) アリシゼーション・ラスティング (電撃文庫)感想
(★★★☆☆)SAO完結! 果てしなく続いてきたアリシゼーション編がついに終わる(笑) 超絶スーパー俺TUEEEE同士の文字通り次元を超えた最終決戦は圧倒的。囚われのデスゲームからスタートした物語がとてつもなく壮大な世界までやってきたものだけど,やっぱりアインクラット編のあの緊迫感と悲壮感に心をつかまれた者としては,そこから遠く離れてしまったのは少し残念ではある。読後に見た裏表紙(カバー)のイラストがうぷぷ。
読了日:8月13日 著者:川原礫

武士道ジェネレーション武士道ジェネレーション感想
(★★★★☆)武士道シリーズ完結編(?)。このシリーズの妙である個々人やそのつながりから生まれる人の成長,人の内面を深掘りしていく展開に今作も引き込まれた。歴史解釈問題という,これまでにない題材も登場し,過去シリーズの流れからはみ出たところに少々引っかかりを覚えたものの,道場閉鎖にからむある秘密を通して描かれる香織の成長や,香織と早苗の掛け合い,その深い信頼関係に思わず涙。「武士道と云うは、死ぬ事と見付けたり」。
読了日:8月10日 著者:誉田哲也

魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (講談社タイガ)魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (講談社タイガ)感想
(★★★☆☆)Wシリーズ2作目。人類の存続に関わる秘密の鍵を握る,ある民族を巡るミステリィ。停滞した色の薄さを感じさせる世界観に似合わない,激しい展開に驚きながら読む。キーワードは前作から続く「魔法の色」。しかし,森さんらしくあれこれ詳しく説明されたりはしないので,さらっと読んでるとなんのこっちゃになってしまう。このシリーズ,もう少しじっくり読んだ方が楽しめそうだ。
読了日:8月7日 著者:森博嗣

風よ。龍に届いているか (幻想迷宮ノベル)風よ。龍に届いているか (幻想迷宮ノベル)感想
(★★★★★)Kindle復刻版。『隣り合わせの灰と青春』『不死王』につづく,ベニー松山ウィザードリィ小説第3弾。頭からおしりまで緊張感に満ちた展開は,まさにウィザードリィ(まあ,ウィザードリィ実はそんなにやってないんだけどね)。ウィザードリィを知らずとも,この圧倒的な緊迫感と純ファンタジー感には,没頭せざるを得ない。過去2作品とも絶妙に連動してすべてが収束する過程にも惚れ惚れする。そして,ニンジャ最強。サムライ最強。
読了日:7月25日 著者:ベニー松山

幻獣調査員 (ファミ通文庫)幻獣調査員 (ファミ通文庫)感想
(★★★☆☆)カクヨムで読む。短編連作。ほんわかした雰囲気と少しばかりダークな雰囲気が微妙に混在する感じがよい。こういうファンタジーは,ときどき摂取したくなる。
読了日:7月8日 著者:綾里けいし

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)感想
(★★★★☆)百年シリーズのさらに先,ある種停滞した未来の話。我々にとっての日常が日常じゃない風を,逆に我々にとっての非日常が日常である風を,あちこちでさらっと書かれているのがとてもよい。百年シリーズからウォーカロンという存在が好み。
読了日:7月2日 著者:森博嗣

銀盤カレイドスコープ〈vol.7〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.7〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
(★★★☆☆)タズサ,だいぶしおらしくなっちゃった感ある。そして百合…なのか……? とはいえ,やっぱり世界の先頭集団を走る者の矜持溢れるタズサである。
読了日:6月10日 著者:海原零

不死王 (幻想迷宮ノベル)不死王 (幻想迷宮ノベル)感想
(★★★★★)
読了日:5月11日 著者:ベニー松山
隣り合わせの灰と青春 (幻想迷宮ノベル)隣り合わせの灰と青春 (幻想迷宮ノベル)感想
(★★★★★)
読了日:5月4日 著者:ベニー松山

ソードアート・オンライン (17) アリシゼーション・アウェイクニング (電撃文庫)ソードアート・オンライン (17) アリシゼーション・アウェイクニング (電撃文庫)感想
(★★☆☆☆)
読了日:4月10日 著者:川原礫

灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)
読了日:3月27日 著者:十文字青

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)感想
(★★★☆☆)カクヨムで読む。怒濤の鬱展開。すべてはぷりるんへ。
読了日:3月22日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)感想
(★★★★☆)異世界からの異世界,そして異世界……。巻が進むたびに振り出しに戻されているようにも思えるが,だからこその緊張感がよい。そして,凡人主人公ハルヒロの,凡人ゆえの慎重に慎重を期する考え,自己を戒める姿勢がよい。1ミリずつのじっくりした展開から生まれるリアリティがある(異世界だが!)。暗いよ! 陰気だよ! と感じる向きもあると思うが,違うんだ,この抑圧があるからこそ,ふとした瞬間の喜びにぐっとくるんだ。終盤,決意の後の進行はとめどない。そしてこのラスト。これは希望を紡ぐ物語だ。
読了日:3月8日 著者:十文字青

作家の収支 (幻冬舎新書)作家の収支 (幻冬舎新書)感想
(★★★☆☆)淡々とというかズバズバとありのままを述べる安定の森節。印税その他、収入と支出の話はまあそうだろうね、という感じで、一例としてとてもおもしろい。それはともかく、終盤の出版のみならず、ものの売れ方についての未来というか現状もズバリ。すべてがマイナ化する。関係ないけど、私も早く一日の労働時間を1時間にできるように努力したい。
読了日:2月19日 著者:森博嗣

灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)
読了日:2月14日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.5 笑わないで聞いておくれよ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.5 笑わないで聞いておくれよ (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)
読了日:1月28日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)
読了日:1月22日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.3 思い通りに行かないのが世の中だと割り切るしかなくても (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.3 思い通りに行かないのが世の中だと割り切るしかなくても (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)
読了日:1月17日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.2 大切じゃないものなんか、ない。 (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.2 大切じゃないものなんか、ない。 (オーバーラップ文庫)感想
(★★★★☆)
読了日:1月16日 著者:十文字青

灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)感想
(★★★☆☆)アニメ初回がいい感じだったので,早速原作を読み始めた。過去の記憶がない少年少女たち。唐突に放り出されたファンタジー世界で生きのびるため,戦いの日々が始まる。ところどころ会話が状況に合わないように思えたり,文章の荒削りな印象を受けるところもあり,もう少しだけ雰囲気を引き締めてもよいように思えた(アニメ版がそういう感じ?)。が,凡人主人公のギリギリで命がけの日々は,切迫感がしみ出ていて引き込まれる。そしてまさかの展開…。彼らが苦悩しながら少しずつ進んでいく様は,現代の日常を煮詰めたものといえる。
読了日:1月13日 著者:十文字青

ぼくらの仮説が世界をつくるぼくらの仮説が世界をつくる感想
(★★★☆☆)コルクの編集者 佐渡島さんの仕事論。ウケるコンテンツのキーワードは「共感(親近感)」「自分事」「参加型」といったところか。この間読んだ三木さんの『面白ければ何でもあり』もそうだけれど,行き着くところは皆同じ。そして人を楽しませられる人は,みんな仕事を楽しんでいる。 ですよね。
読了日:1月7日 著者:佐渡島庸平

鳩の撃退法 上鳩の撃退法 上感想
(★★★☆☆)中盤,話の展開も,登場人物たちの会話もどうにも回りくどくて,なかなか読み進まなかった。……が! この巻最後の30章で急に,これまでの話がつながりはじめた! 下巻に行く前に,思わず最初からざっくり再確認。ここから下巻で,積み上げられた謎と伏線回収に期待が募ります。
読了日:1月2日 著者:佐藤正午


読書メーター